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第十一回:「満足度と期待値の話」

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あなたに1万円を差し上げましょう。対価はいりません、本当に善意からです。ただしちょっとした検証をしたいのです。いやいやなーに簡単なことですよ。今から聞く質問に「YES」か「NO」で答えてくれるだけで良いのです。

1万円ではなく10万円にして差し上げましょう。ただし条件があります。このサイコロを振っていただいて、1の目が出たら10万円にして差し上げます。そのかわり2~6の目が出たら、1万円の話は無かったことにさせていただきます。タネも仕掛けもないただのサイコロです。当選確率は6分の1、このサイコロチャンス振ってみますか?それとも1万円をもらって止めておきますか?

「ただより高いものは無い」だとか「知らない人からお金をもらうものでは無い」だとか、今そういう話は結構です。1万円をもらうか、それとも10万円のサイコロチャンスに挑むか、「YES」か「NO」でお答えください。 さて、あなたの回答は――


期待値の話をすると、このサイコロチャンスは6分の1で10万円ですから、1振り16666円の価値があるということになります。でもきっと多くの人は「NO」と答えるでしょう。確かにサイコロチャンスの期待値は1万円をかなり上回りますが外れる可能性も高く、外れてしまったら1万円を捨ててしまうようなものだからです。1万円をもらう満足度には個人差がありますが、1万円をもらったら普通に嬉しい人が多いのではないでしょうか。 いや、僕は素直に嬉しいですよ(笑) 

では金額を変えましょう。1000円もらえるのと、サイコロチャンスの当たりが1万円だとしたらどうでしょう。1000円をもらう満足度には個人差がありますが、きっと1000円程度の金額なら無くしてもダメ元で、サイコロチャンスにチャレンジする人が多いのではないでしょうか。いや、僕だったらサイコロを振りますよ(笑) このように期待値や損得の話ではなく、自分の満足度によって「YES」か「NO」を選択すること。人間心理ってそういうものだと思うのです。



早い巡目の親リーチ相手に赤2含みでテンパイをしました。親リーチにはが現物では無筋です。 さてあなたは現物を切ってリーチしますか? それとも無筋を切ってリーチしますか? 実はこういった選択も、自分の満足度によって決められていることが多いのです。

親リーチに振り込みたくないし、5200点で打点は十分

と考え、切りリーチを選択する人も多いでしょう。確かに子方の5200点は全体的に見れば高いほうです。だから5200点で打点は十分と、つい自分の満足度を基準にして判断してしまうのです。しかし手役の無いリーチ赤2ならいざ知らず、この素材であれば1牌危険牌を勝負することによって、最低でも8000点が保証され、12000点になるチャンスだって少なくはないはずです。

サイコロの話に戻ります。サイコロを振らなければ1万円確定、サイコロを振れば6分の1で10万円。あれは1回勝負の話でしたね。もしもこのサイコロを、1000回振るチャンスが与えられたらどうしますか?
サイコロを振らなかったら無条件で1000万もらえます。振った場合、結果均等に目が出たとしたら1660~1670万円、仮に出目が悪く下振れの結果だとしても、101回1の目が出るだけでサイコロを振らなかったときよりも多くの金額を獲得できます。「おーし!倍の2000万にしてやるぜー!」と、誰しもが腕をまくり、鼻息を荒くして、一心不乱にサイコロを振りまくるのではないでしょうか。

結果A・5200 または 8000
結果B・8000 または 12000

結果Aと結果Bはかなりの大差です。1回だけの勝負なら結果で差がわかりにくいでしょう。しかしこの選択を何度も何度も繰り返し行った場合、最終的に切りの収支が上回ることは間違いないのです。

あなたは打牌選択を自分の満足度で決めていませんか?麻雀の選択基準は選択Aと選択Bの比較です。この局で麻雀を引退するのであれば、1回だけでは差がわかりにくいと思うので、現物を切る、無筋を切るは、あなたの満足度で選択したっていいと思います。しかしこれからもずっと麻雀を続けていくつもりならば、自分の満足度で選ぶのではなく、長い目で見て最も有利になる選択の比較で判断をするべきですよね。




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